ピアノでの失敗経験が今を支えている

あの時の事は今でも鮮明に覚えています。あれは中学2年の頃でした。幼少からピアノを習っていたこともあって私はクラス合唱の伴奏をしていました。

通っていた中学校は合唱が盛んで毎年クラス対抗の合唱コンクールがあり、練習も一生懸命でした。音楽の時間だけでなく朝の会、帰りの会、昼休みなどパート練習や全体練習など合唱漬けでした。
練習のたびに伴奏もするのですが、私は毎回譜面を見ながら弾いてました。毎回同じ曲を何度も何度も弾いて、同じ箇所を繰り返したり、合唱指導が入ると一旦伴奏をストップして再開するまで待機するのでぼんやりしながら弾いてたのもあります。

月一度、学年集会があり、その時に学年の課題曲を歌う事になっていて、指揮と伴奏はクラス順に毎回変わるという事になっていました。ある日の学年集会、順番的には私のクラスから指揮と伴奏を出す番になっていたのですが、担任や他の先生から特に連絡もなかったので今回は合唱の練習はないのかなと勝手に思って学年集会に行きました。会の終わりにさしかかり、急に歌いましょうとなり、私は慌てました。楽譜も準備してないし、何より心の準備が出来て無かったからです。急に冷や汗と心臓がバクバクし始めました。いつも譜面は飾りみたいなもので実際はほとんど楽譜を見ずに暗譜しています。よし、やってみようと思い、ピアノの前に座り、前奏を弾き始め、途中まではなんとかなりました。しかし、間奏のところで一か所間違えてしまったのです。そこで私の集中がプツンと切れ、頭の中が真っ白になって演奏出来なくなってしまったのです。全然思い出せなくなってピアノの前で呆然と固まってしまいました。
何かしゃべらなくてはいけないと思い、「ご、ご、ご、ごめんなさい。も、もも、もう少しだけ待ってください」と言ったのですが、完全にどもってしまい、大変でした。クラスの子、友達が頑張ってと声をかけてくれましたがまったく思い出せず、先生に無理やり他のクラスの伴奏の子に交代させられました。
あの時の頭の中が真っ白な状態、ステージから降りる時の悔しさは、今でも忘れられません。でも、その時に一生懸命がんばった吃音の訓練も今ではとても役立っています。
中村しょう【MRM吃音プログラム】を6週間使ったあとの効果について